咲き舞う華は刻に散る


自室に着くと、美桜里は縁側に続く障子を開けた。



そこには、二、三本を飲み倒した土方がいた。



「呑み過ぎだぞ、土方」



美桜里は縁側で酒を煽る土方から徳利と猪口を奪い取った。



土方は山南が切腹してから自分を責め、自虐するように酒を煽っている。



「うるさい、返せ…」



美桜里を睨みつける彼の顔は酒で赤くなっている。



しかし、酒で高揚感があるはずなのに、今の彼からはそれを感じ取れなかった。



「駄目だ。いい加減、止めとけ」



美桜里は土方から取り上げた徳利と猪口を床に置くと、彼と背中合わせに座った。






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