咲き舞う華は刻に散る


そんなある日――。



美桜里は土方の部屋でごろ寝していた。



そんな彼女の横では泉羽が繕いものをしている。



美桜里も泉羽の手伝いをしようとしたが、断られた。



「土方、暇」



「俺は暇じゃねぇ。泉羽、悪いが、茶を入れて来てくれねぇか?」



「はい、分かりました」



泉羽は土方の文机から湯呑みを取ると、部屋を出て行った。



「何故、最近私に頼まないんだ?」



美桜里は土方に聞こえないくらいの小さな声で呟いた。



土方は泉羽が来てから、彼女に茶を頼まない。



理由は簡単、美桜里の茶がまずいからだ。



それを当の本人は気付いていない。






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