描かれた夏風
 でも今日は文化祭――代表が発表される日だ。

 なんとしてでも学校に行って、代表選考の結果を見届けたい。

 ――舞台の中央に飾られる三作品。

 その作者が、秋の芸術展への栄えある切符を手にするのだ。

「ああ、そういえば今日が文化祭だっけ? 最近、絵ばっかりだったのに」

「仕方ないよ。みんな代表目指して必死だから」

 朝ご飯を食べながらも、まだ実感がわかない。

 今日が文化祭。

 いつもならおいしく感じられるご飯の味が、よくわからなかった。

「普通科はクラスごとに準備をして出し物をするみたいだけどね。芸術科にそんな余裕はゼロ」

「ふーん……」

 母は弟と父のお弁当を作るのに意識を向けている。

 これから仕事だから、娘の文化祭を見に来ることはできない。

(でも寂しいなんて思わない。幼稚園の運動会じゃあるまいし)

「ごちそーさま」

 箸を置いて手を合わせると、私は席をたった。

 病み上がりのせいか、まだ頭が少し痛い。

 足もふらふらとして、階段を上がる時にもたついた。
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