monoTone
monoTone

今彼

「日向《ひなた》」

「あっ、大輔《だいすけ》」

「行こ」

大輔は、あたしの彼氏。

彼氏だけど、好きなわけではない。

わかんないけど、告白されて、嫌いじゃなか

ったから付き合った。

嫌いじゃないの、大輔は。

好きだよ、むしろ。

けど、これが恋かと聞かれたら、違うって答

えるべきだと思う。

だって、キスしたいとか、抱き締められたい

とか、手を繋ぎたいだとか、そんな感情を抱

いたことなんてないから。

ちなみに、今日は大輔とデート。

「うん、行こっか」

そう言って、大輔に手を差し出される。

それに、素直に従うあたし。

だって、断る必要ないじゃない。

好きじゃなくても、手は繋げるし。

「にしても、やっぱ日向は小さいな」

「うるさぁい!!あたしだって、大きくなりた

いんだもん!!」

「ははっ、可愛いよ。小さくても、ちょっと

意地張ってても」

「お世辞はいらなぁい」

あたしは、はっきり言って小さい。

だって、150センチだよ!?

高校1年生だよ!?

あたしだって、ショック受けますよ。

小さいんだもん…

大きく、なりたいよ。

だって、制服着てても、コスプレしちゃった

小学生みたいだもん。

ちなみに、可愛くないです。

お兄ちゃんは、カッコイイんだけどな~。

「お世辞じゃないから。大丈夫だよ」

素直に従って、あたしたちは歩き出す。

< 1 / 138 >

この作品をシェア

pagetop