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夏の海の祭りⅡ

「…上着、脱げ。濡れるぞ?」

「体型、見て笑わないでね?」

「笑わねぇよ」

そう京介が言ったから、上着を脱いだ。

…あぁ、恥ずかしい。

太陽の光が痛い。

「…似合ってる、ぞ?」

照れてる?

褒めてくれてる…よね?

「ありがと。京介も、海パン似合ってる」

京介は特に、最初に見た時、この人、色気す

ごすぎるな…なんて思った。

あたしも、胸が高鳴ったし、普通の女の人な

ら、鼻血出すと思う。

「…行くぞ」

京介をそう言うと、歩き出した。

あたしは、あとを追っていく。

京介が、どんどん海に入っていくから、あた

しもついていく…けど。

「京介…も、無理」

足、もうつかなくなるよ。

「…大人しくしてろよ」

そう京介はあたしに言うと、あたしを抱き上

げた。

これは、またもや、お姫様抱っこ。

「きゃっ」

「…行くぞ」

京介は、お姫様抱っこが好きなのかな?

前も、そうだったよね?

「橘、潜るぞ」

そう言われたから、息をいっぱい吸うと、息

を止め、海に潜った。

肩をトントンッて叩かれて、目を開けた。

そうすると、辺りは一面、海カラー。

まぁ、当たり前なんだけど…

魚とかもいて、すごく綺麗で。

その、綺麗な景色の中に、笑顔の京介が一緒

にいてくれるから…

あたしは、海が大好きになった。

京介と海の中から、顔を出した。

「…嫌いじゃなくなったか?」

あっ…好きって言わなくなった。

さっきは、好きになるって、すっごく笑顔で

言ったのになぁ。

「うん。好きなった!!」

「そうか」

「ねぇ、なんで京介、今は嫌いじゃなくなっ

たって、言ったの?海に入る前は、好きにな

るって言ってたよね?」

「はっ…」

そう言うと、京介の頬は真っ赤になった。

「…言えねぇんだよ」

「えっ?好き…が?」

今の話の流れ、それしかないよね?

コクンッと、首を縦に降った京介。

「ほんと…?」

「…あぁ」

…それならさ。

嫌いじゃないは、好きと同じって考えて、い

いの?
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