monoTone

あたしの決意

「何、その傷!?」

「…うぜぇ」

あたし、叫びましたよ。

だってびっくりしたんだもん!!

朝、京介を見たら腕には赤い引っ掻き傷がつ

いていたし、頬には絆創膏が貼ってあったん

だもん。

「ねぇ、その傷!!どうしたの?」

「…うっせぇよ。お前に教える筋合いはねぇ

よ」

「お前じゃない、日向!!で、なんで!?」

「…黙れ。耳痛ぇな」

「だから、耳痛いなら、早く傷の理由を教え

てよ!!」

「……喧嘩した。だから、黙れ」

「喧嘩!?」

「…晴輝、こいつ黙らせろ」

「橘、今京介はすっごい不機嫌だから、あん

まり話しかけない方がいいよ。多分、もう眠

くてたまんないと思うから」

「…うん」

そう言ったはる君の合図でか、もう京介は寝

てしまっているみたいで…

「京介って、寝るの早くない?」

「寝るのが一番得意なんじゃないかな…京介

って」

「そっか。寝るの得意なんだぁ。いいな、あ

たしは寝付き悪いからな~」

「寝付き悪いの?しっかり寝てる?」

「寝付き悪いから、早い時間にベッド入るこ

とにしてるんだ。だから、部活もやってない

し、勉強してる時間も短いんだ」

だから…なんて言ったら、言い訳かもしれな

いけど、だからあたしは、頭が悪いのです、

そのはずです。

「そっか。じゃあ、眠れない時は電話でも、

メールでもしてよ」

「えっ?」

はる君があたしに渡したのは、メアドと携帯

番号が書かれた紙だった。

「あと、裏に書いてあるのは京介のね。マジ

で困った時は、京介に電話しなよ」

「えっ?」

「後で、俺に電話番号つけて、メールして。

そのメアドと携帯番号、京介にも教えておく

から」

「えっ…うん」

なんで、京介とも連絡交換してるんだろ。

…京介とは、関わっちゃいけないって、大輔

に言われているのに。

でも、大輔が言うみたいに、悪い人には、あ

たしには思えなくて。

なんで?って聞かれたら、根拠はないから答

えられないけど、それでも、京介は悪い人に

は思えないから。

「…はる君。京介って、悪い人なの?」

「えっ?」

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