夏色狂想曲
*:。Prologue





《おはようございます。8月31日、本日も真夏日となるでしょう》





ミーンミーン

ジーイジーイ




チリンチリンという爽やかな風鈴の音に、ドタドタと慌ただしい足音が混ざる。


元気のよすぎる蝉たちの大合唱をBGMに、あたしはママの作った目玉焼きをつまんで口に放り込んだ。

そのまま朝ご飯に見向きもせず食卓テーブルを通過。


「ちょっと笑花っ!座って食べなさいよ!」


ジャブジャブという水道の音を割って、ママの高い声が聞こえたけど気にしてなんかいられない。


「ごめーんっ!でも遅刻しそうだから!」


あたしは手作りのサンドイッチなどが入ったカゴバッグを掴んで。


「気を付けるのよーっ!」

「分かってるって!いってきまーすっ」


吹っ飛ぶんじゃないかという勢いで玄関の引き戸を開けて眩しい朝の空の下に飛び出した。


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