夏色狂想曲
しばらく風の吹く音と、緑がこすれる音だけが響いて。
あたしは、リップを塗りなおした唇を動かした。
「…あのね、皐月」
すごくすごく迷ったの。
言おうと思って、でもずっと言えなかった。
受け入れたかったのに、でもずっと受け入れられなかった。
だって、言ったら、きっと
認めてしまったら、もう―――
終わってしまう気がしたんだ。
あのね、
あのね、
「…あのね、皐月」
あたし、見たよ。
「あたし…皐月のブログ、見たよ」