【完】最初で最後の恋

別れ、そして…再び

side奈央


眠っている間、すごく安心した…。
温かい、何かに包まれて。
なんだか、懐かしくて。
こんなに安心して眠れたのは、いつ以来だろう…?

パチリ、目が覚めた。
「あ。奈央さん、目ぇ覚めました?」
「え、あれ?龍輝くん…?」
「奈央さん、倒れたんスよ。で、ここに運ばれたんです」
「あ、そっか…。心配かけて、ごめんね?」
「いえ!ただの疲労だそうなので、ゆっくり休んでくださいっ」
「うん。ありがとう…」
「奈央さん……」
彼はあたしの手を握った。
龍輝くんの顔を見ると…ひどく、悲しそうな顔をしていた。
「え、龍輝くん?どうしたの…?」
「奈央さん、別れましょう…」
彼が口にした言葉は……
予想もしないものだった──…。
「え…?」
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