線香花火




「…緑を見る目、すっごく愛おしそう。」

「…そりゃそうだよ。でも夏美って、昔から心が読めないんだよな。平気そうな顔して、すっごく傷ついてたり。だから、毎回聞かないと、お前は痛いのか、痛くないのかわかんないんだよ。」

「あたし演技派かなっ?」




確かに、二人並んでて悔しいし、苦しい。
でも、平気なんだ。
だってあたしなんかに振り向くわけがないから。
”陸の近くにいる”
これだけで、あたしは幸せ。




「緑はさ、可愛くて優しくって。ホントに女の子って感じでさ。みんなにモテモテで、それなのに天狗にもならなくて。」

「知ってる。お前とは正反対って感じだよな。」

「…(笑)そうだねぇ。蓮には悪いけど、二人見てお似合いって思っちゃう。確かに、蓮と緑もお似合いだけどさ。」




やべ…
言っちゃダメだったかな?
蓮はうつむいたまま笑ってた。




「俺も思うな。陸と緑がお似合いって。」






< 7 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop