好きな子はツンデレ
政人はオレを必要以上に気遣った。


さっきまで彼女がそこに立っていた廊下に、政人が現れたのが変な感じだ。


政人はいつの間にか出していたチャリ鍵をくるくると回した。



「海斗、あんま言いたかなかったんだけどさ」



鍵が回るのをやめて、政人の手の中に静かに収まった。


オレは何となく迫りくる嫌な予感を抱きながら、政人を凝視した。


聞いちゃいけない気がしたけど、その先が気になる方が強かった。



「ん、やっぱやーめた」



政人はクルッと方向転換して、元の道に歩いてく。


オレは「なっ、何だよそれー!」となって、政人についてく。


アイツは「ついてこないでよ」とか、くねくねしながら言った。



何だよ、政人。



気持ち悪いし気になるよ。




「オレ彼女のとこ行くからさー、海ちゃんはそこらへんでシッポ振って主人の帰り待ってな?」



オレの頭を撫で回し、哀れみのような顔をする。




「気になるだろ、教えろよ」

オレは政人のシャツを引っ張ったり、前後に振ったりする。


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