Believe
目が合ってしまい、恥ずかしくて顔を反らした。

「い、いえ。すみません」

と顔が熱くなるのが分かった。

走り出して20分くらい経つと、前の方に洋食屋さんの看板が見えた。

「優希ちゃん、あのお店でもいい?」と稲葉さん。

「はい」と私が言うと、駐車場に入り車を停めた。

稲葉さんがお店のドアを開けてくれる。

「はい、どうぞ」と私を先に入れてくれた。

店員さんに案内され、席に座る。

「今日のおすすめセットはこちらになります」と言い店員さんは離れた。

あの店員さん、稲葉さんって事に気づいちゃったかな?気づかれたら大騒ぎになっちゃう。

「はい」とメニューを私に渡してくれた。

1つ1つの行動に私はドキドキするばかり。


少し経ち「決まった?」と稲葉さん。

「はい。おすすめセットにします」と私。

稲葉さんが注文をしてくれた。

しばらくして、飲み物が運ばれてきた。

「今日は来てくれて本当にありがとね」と稲葉さんは優しい笑顔。

「いえ、こちらこそ誘って頂いてありがとうございます。ところで本当にお休みだったんですか?」

「本当に休みだよ。アーティストにも休養は必要だからね」

「そうですよね。こっちの方とか結構来たりするんですか?」

「たまに来たりしてるよ。でも道に迷ったのはこの前が初めて。本当に困っちゃって、どうしようかと思ったよ」
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