レンタル彼氏Ⅲ【完結】
ぎゅっと合鍵を握り締めると、私は自宅まで歩いた。



することはたくさんある。

着替えたいし、もし、また泊まるかもしれないのなら簡単なお泊まりセットは持って行きたい。

それに玉子サンドも作らないと。



六時までに頑張らないと!


和や、尚子にも報告したいし。




考えながら歩いていると、ふっと私の頭を聖が掠めた。




“俺、まじで泉のこと好きだったんだよ”






知らなかった、知らなかったよ。

そんなこと。


でも、微かに私は気付いていたのかもしれない。



順二との会話も、確かにおかしかった。
あれも、私を好きだからと考えたら合点がいく。



あれだけモテるのに、聖はそんな女の子達に目もくれず、いつも私といた。


…伊織を好きな私と。





どうして。


自ら辛い恋を選ぶのだろうか。



わかってるのに。

報われないと。





…理屈じゃないのは…わかってんの。

でも、聖には幸せな未来を見つけて欲しかったし、素敵な相手と一緒になって欲しかった。



まだ…友達でいたいなんてムシのいい話なのかな。
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