レンタル彼氏Ⅲ【完結】
“俺には眩しい”


伊織は苦しそうにそう呟く。

私が、綺麗?眩しい?

そんなこと、絶対ない。


私からしたら伊織の方が、綺麗だ。


どうしてそんなことがあったのに、今もなお私の心配をして、自分の罪だと思えるのだろう。

どうして、誰かの所為にしないのだろう。



「私は綺麗でもなんでもない。
ねえ、伊織。
…やっぱり、レンタル彼氏は残酷だね」


「………」


ふふっと、伊織は情けなく笑うと頷く。


「本当に」

そう、一言呟く。



「俺ね、お金なんか本当どうだってよかった。
毎月、一千万のお金が手に入ったけど使うのはほんの一握り。
だから、今の生活の方があってると思ってんだ」


そう言った伊織。
私は部屋を見渡す。


何もかもを手に入れていた伊織。
だけど、その心はいつまでも満たされなかった。


それが、その結果がこの部屋なんだ。



“伊織は見た目を着飾らなくたってカッコよかった”


聖の言った言葉を思い出す。
本当に、そうだね。

私もそう思う。
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