私は忘れたよ‥
「営業の仕事が大変なのは俺だってわかってる。だけど貴子さんに当たるのは褒められたことじゃないな」

私は壁をただ見つめていた。


「電話するか?家に行くか?」
と言ってきた。
「誰の?」と聞き返した。


「貴子さんに決まってるだろう」
何が決まってるんだ、なんで私が謝ることが決まってるんだ?
「なんで?なんで私が謝るの?」
と怒りをあらわにした。

「謝ってくれたら君を許してくれるって言ってた」


「別にあの人になんか許されたくない」
すごく冷めた目で答えた。


「俺は許してほしいと思う。わかるだろう?子どもじゃないんだから」
と少し苛立っているように見える。

ただショックだ。

京吾が私を今まさに責めている。

しかも原因が貴子さんだということがもっとショックだ。

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