キミに送る約束~空に向かって~

「ねえっ、待ってよ!慧っ!」


走る時間が過ぎていくたびあたしたちの
距離も遠くなっていく。


「慧っ!慧っ!ばかーっっ!」


あたしは声が枯れると思うくらい
叫んだ。


「ばかばかばかばかばかーっ!
あほ!ばか!はげ!へたれ!
でべそ!何で...何で1人で...
抱えて逃げるのよ.....。」


慧は立ち止まって振り向きあたしの
方へと歩み寄ってくる。


「梓が死ぬ時...何で俺じゃねえ...
男が一緒にいたんだろうな...
何でっ.....俺じゃなかったんだろう。
何で梓が死んだんだろうな!
何で...ソイツは無事に生きて
いるんだろうなっ!」


次は慧は地面を殴る。慧の手から
血が出てくる。


「やめて...よ。慧...。」


地面を殴る音が何度も聞こえる。


「やめてってば.....。」

「んで.....もっとそばに
いてやれなかったんだろう.....。
何で...俺...梓を.....梓に
寂しい思い...させちゃったんだろうな。」


あたしは反射的に慧を抱きしめた。


「慧。違うよ。慧。」


「俺...梓のこと...1人に
しちゃっていたのかもな。もっと...
愛あげればよかった。全部俺ごと
あげればよかった。したら...
こんなことにならなかっ「慧っ!」


慧はあたしの体に自分を預ける。
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