わたしとあなたのありのまま ‥3‥
「田所、今日また休みだって」
お昼休み、綾子が携帯をコトリと机の上に置いてそう言った。さっきまでメールのやり取りをしていた相手は、どうやら照哉くんだったみたい。
「えっ?」
冬以とは何も無かったってこと、田所には直接会って伝えたかったのに、どうして……。
やっぱ昨日、田所に電話で報告すれば良かったかな。
「あの男、ズル休みばっかして、単位大丈夫なの?」
独り言のように綾子が呟く。
「そのぐらいの計算、いくら田所でも……」
そこまで言って、口籠る。
できないかも。死ぬほど単純で簡単な計算だけど、面倒くさがりの田所にはできないかも。
「もし足りなくなったら、補修でもなんでもしてくれるでしょ? うちの学校、案外そういうとこ甘いし」
根拠のない楽観主義な発言で、自分自身の不安を取っ払う。
田所は整備士の専門学校へ行くって言っていたから、卒業さえできればいいわけで。
ふっと、綾子が意味深な笑みを浮かべて私を見た。
「何?」
訳が分からなくて思わず尋ねれば、
「別に」
どうでも良さそうに返される。
気付けば、綾子の顔からさっきの微笑は跡形もなく消えていて、いつものクールで無愛想な綾子さん。