愛を教えて ―番外編―
どうやら美月の動きを封じている男が亨というらしい。おそらく十代後半か二十代前半、老人の血縁者なら孫だろう。


「お前ら、あの藤原グループの子供だって?」


亨と呼ばれた男が偉そうに質問するが……。


「あなたって馬鹿? 藤原グループは総称よ。社名ですらないわ。第一、私たちが子会社に見えるの?」

「み、美月ちゃん、もうちょっと友好的に話したほうが」 


羽交い絞めにされながらも、口の減らない美月に結人のほうが心配になる。


「どっちでもいいんだよ! すげぇ金持ちで、ジジイの工場潰した悪党なんだってな。ジジイが誘拐したってんなら、オレが後を引き継いでやるよ」


「亨……」


叫び声が途切れ、ガッと言う音が聞こえた。

三浦老人は工場の床にうずくまる。残った三人にうちのひとりが、老人の肩口を殴って動きを封じたのだ。


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