愛を教えて ―番外編―
(6)妻の交渉―愛実
愛実が生後四ヶ月の忍を抱え、リビングを往復していたとき、ふいに扉の開く音が聞こえた。
「ただいま、愛実」
声の主は藤臣だ。
ここしばらく、午前様が続いている。秘書の瀬崎も同じく帰りが遅いと妻の香織が言っていた。
「あ、お帰りなさい。全然気がつかなくて……」
愛実はボンヤリと昼間のことを考えていて、車が停まる音や玄関の開く音にも気づかなかった。
「遅くまでご苦労さまでした。お腹は空いてませんか? 何か作りましょうか?」
「いや、それより……夜泣きか? 私が変わろうか?」
ついさっきまで大声で泣いていたが、今は少し落ち着いている。動きが止まるとぐずり始めるのだが、こうして歩き回っていると、しだいに眠ってくれるのだ。
藤臣はスーツの上着を脱ぎ、ソファの背もたれに掛けると袖を捲り上げた。
「あ、でも、お疲れでしょう?」
「だからこそ、忍の顔を見てると落ち着く。本当は上ふたりとも遊んでやりたいんだが……」
愛実から忍を受け取りつつ、藤臣は優しい顔で娘に微笑みかけた。
「ただいま、愛実」
声の主は藤臣だ。
ここしばらく、午前様が続いている。秘書の瀬崎も同じく帰りが遅いと妻の香織が言っていた。
「あ、お帰りなさい。全然気がつかなくて……」
愛実はボンヤリと昼間のことを考えていて、車が停まる音や玄関の開く音にも気づかなかった。
「遅くまでご苦労さまでした。お腹は空いてませんか? 何か作りましょうか?」
「いや、それより……夜泣きか? 私が変わろうか?」
ついさっきまで大声で泣いていたが、今は少し落ち着いている。動きが止まるとぐずり始めるのだが、こうして歩き回っていると、しだいに眠ってくれるのだ。
藤臣はスーツの上着を脱ぎ、ソファの背もたれに掛けると袖を捲り上げた。
「あ、でも、お疲れでしょう?」
「だからこそ、忍の顔を見てると落ち着く。本当は上ふたりとも遊んでやりたいんだが……」
愛実から忍を受け取りつつ、藤臣は優しい顔で娘に微笑みかけた。