愛を教えて ―番外編―

(8)因縁

「でも、卓巳様は相変わらず、万里子様には弱いですよねぇ」


猫舌の雪音は冷めた紅茶をひと口飲むと、ふふふっと笑い、万里子をからかうように言った。

一方、万里子は新しく淹れたダージリンティーの甘く強い香りを楽しみながら、ゆっくりと口に運びつつ……。


「いやだわ、そんなふうに見える?」

「ええ、もちろん!」

「もう、雪音さんたら」


万里子はティーカップをソーサーに戻すと曖昧に微笑んだ。そんな仕草に、長い付き合いの雪音は何かを感じ取ったようだ。


「あの……何か、あったんですか?」

「ええ、実は、ね」



エコ・カーニバルは毎年行われる。

出し物はその都度、実行委員や父兄たちが考えたものでよい、となってはいるが……それはタテマエというもの。実際は年少・年中・年長と分けられ、遊び・販売・飲食コーナーと担当が決められている。

去年は実行委員ではなかったものの、万里子は販売コーナーを手伝った。牛乳パックに可愛らしい布を貼り付け小物入れを作ったり、古いタオルを持ち寄り雑巾を作ったりした。

飲食コーナーは、実行委員が中心に行う喫茶コーナー、あとはカレーと焼きそばが定番になっている。隣のクラスがカレーに決まったので、自動的に万里子のクラスは焼きそばになってしまい……。


『卓巳さん……焼きそばなんですけど。できそうですか?』


もし難しいようなら、万里子も一緒に手伝おう、そう思って尋ねた。


< 174 / 283 >

この作品をシェア

pagetop