愛を教えて ―番外編―
「さっき覗いたときは眠ってたわよ。うちも下ふたりはお昼寝中。でなきゃ光希なんて、お兄ちゃんの真似をしようとチョロチョロして大変」
 

万里子につられて愛実も声を立てて笑う。

そのとき、


「万里子、悪いが迎えが来た。そろそろ抜けていいかな?」


そう言って姿を見せたのは藤原卓巳、その人だった。
 

卓巳は藤臣に比べて五センチ以上低いのではないだろうか。体格もいくらか細身ですっきりして見える。貴公子然とした顔つきは、魅力的な男性に違いはないが……。

愛実にすれば冷ややかな印象が先に立ち、緊張を覚えた。


「ええ、今日はご苦労さま。明日も朝からお願いね」

「はいはい。仰せのままに」

「もうっ! 卓巳さんたら。わたしがムリヤリ押し付けたみたいじゃないの」

「……違ったのか?」

「卓巳さんっ!」


ふたりのやり取りを聞いて愛実がクスッと笑うと、


「あ、そうだわ。こちらが北斗くんのママで美馬愛実さん」


< 182 / 283 >

この作品をシェア

pagetop