愛を教えて ―番外編―
『すみません。やっぱり、私たちはこの学校に合わないのかもしれませんね。明日、もし主人が来なくても、ご迷惑は掛けないように代わりの人は頼んでますから……』
今にも消えてしまいそうな笑顔で、愛実は言っていた。
(愛実さんの様子だと……来れないっておっしゃってるのかも)
愛実はどうもひとりですべてを背負い込んでしまうタイプに思える。
せっかく知り合えたのに。子どもたちも……長男同士は、美月も含めてあんなに仲が良いのに。今は仲の悪い次男たちだが、ふたりは同じ誕生日なのだ。
このままいくと、万里子の四男・立志と愛実の長女・忍も同じ学年になり、この先十年以上のお付き合いになることは間違いない。
そして万里子はおせっかいを承知の上で、藤臣に会うことを決断した。
「はじめまして、藤原万里子と申します。このたびはお忙しい中、お呼び立てして申し訳ありません」
必死に気持ちを落ちつかせながら言う。
こういった形で初対面の男性と話をするのは初めてだ。
いや……はるか昔、夫の卓巳と初めて会った日に、ホテルのレストランの個室でふたりきりになった。そこまで戻らなければ万里子には思い当たらない。
とはいえ、ここはロビーラウンジ。個室ではないので周囲に数え切れないほどの人がいた。
今にも消えてしまいそうな笑顔で、愛実は言っていた。
(愛実さんの様子だと……来れないっておっしゃってるのかも)
愛実はどうもひとりですべてを背負い込んでしまうタイプに思える。
せっかく知り合えたのに。子どもたちも……長男同士は、美月も含めてあんなに仲が良いのに。今は仲の悪い次男たちだが、ふたりは同じ誕生日なのだ。
このままいくと、万里子の四男・立志と愛実の長女・忍も同じ学年になり、この先十年以上のお付き合いになることは間違いない。
そして万里子はおせっかいを承知の上で、藤臣に会うことを決断した。
「はじめまして、藤原万里子と申します。このたびはお忙しい中、お呼び立てして申し訳ありません」
必死に気持ちを落ちつかせながら言う。
こういった形で初対面の男性と話をするのは初めてだ。
いや……はるか昔、夫の卓巳と初めて会った日に、ホテルのレストランの個室でふたりきりになった。そこまで戻らなければ万里子には思い当たらない。
とはいえ、ここはロビーラウンジ。個室ではないので周囲に数え切れないほどの人がいた。