愛を教えて ―番外編―
孝司も卓巳や太一郎の従弟になる。

一度は経営を学ぼうとしたが、どうやら性に合わなかったらしい。美大に入り直し、卒業後は美術の教師をしながら絵を描いている。学生時代は藤原家の援助を受けていたが、就職後は独立していた。

二十六歳の孝司は気ままな独身生活を楽しんでいる。

それでいて、子供たちのお絵かきにも付き合ってくれる、“優しいおじさん”だった。
 

「なんだ、父さんも幼稚園に行くのに。大樹は一緒に行かないのか?」


着替えて食堂に来たのは卓巳が最後だった。

深夜、万里子にベッドで拒絶され、卓巳は書斎のソファで眠った……いや、朝方まで悶々と悩み続けたというべきか。


子供たちは一斉に「おはようございます!」と声をあげる。

卓巳も「おはよう」と答えた。


「お父さん、家にいたんだね。お母さんと一緒じゃないから、帰ってないんだと思ってた」


結人の無邪気な声に、卓巳と万里子は複雑な表情だ。


「あ、ああ……書斎で仕事をしてたんだよ」

「ふーん」


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