愛を教えて ―番外編―
立志は新郎の大樹と同じで身体が大きい。大樹は今でこそ男らしくなったが、子供のころは母親似の可愛らしい顔立ちだった。

この立志も同じで、現在はまだ第二次性徴の微妙なバランスの中にいた。

万里子の子供たちは、長男・三男・五男は父親に似てシャープで大人びた顔立ちをしており、タキシードのような正装が子供のころからよく似合うタイプだ。


「そんなことはありません! 立志様もよくお似合いです」


絢音が頬を染めて立志を褒める。

すると、


「あ、ホントに? 絢音さんも綺麗だよ。三姉妹の中で一番絢音さんが美人だと思う。宗には綺麗なお姉さんがいて羨ましいよ」


などと軽口を叩き始める。

この辺りは誰に似たのか……万里子にもさっぱりわからない。


一方、姉を褒められ幸仁は複雑そうな顔をしつつ、


「そうですか? 姉たちは三つ子に見えるほどよく似てると思うんですが……」

「うん、立志お兄さまは和音ちゃんと藤音ちゃんにも言ってた! 女の子のおともだちにはみんな言ってるんだから、信じちゃダメよ絢音ちゃん」

「うるさい、ふたりとも。愛実は世界で二番目に綺麗なんだから、拗ねるんじゃないぞ」

「どうして二番目? お兄さまたち、みんなわたしが一番じゃなくなっちゃうの?」


そう言ってベソを掻き始めた愛実に向かって立志が言った言葉……


「一番は母さんに決まってるだろ?」


本当に誰に似たのかしら……と思いつつ、まんざらでもない万里子だった。


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