愛を教えて ―番外編―
「足りないなら裏庭にも……」

「いいえ。いいえ、もう充分です。春が……楽しみですね」


来年は無理だろう。

再来年も難しいかもしれない。

でも、何年かかっても何十年かけても咲かせていけばいい。

万里子の心には、満開の桜並木の下、寄り添うふたりの姿が浮かんでいた。




――そして、それがふたりきりではない幸運を、このときの卓巳と万里子はまだ知らない。




                         ~fin~


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