愛を教えて ―番外編―
そういえば、卓巳はペアルック大好き人間だった。携帯も時計も傘もお揃いである。

そしてつい先日、万里子が結人の離乳食用に、ウェッジウッドから出ているピーターラビットの『洗礼《クリスニング》シリーズ』を購入した。万里子愛用の『ティータイムシリーズ』とお揃いだと喜んでいたら、なんと卓巳もピーターラビットを買って来たのである。

今では三人とも、食卓には仲よくウサギ柄が並んでいた。


卓巳は嬉しそうに笑っているが、万里子は目のやり場に困る。

豹柄のメンズビキニは、おそらく布地の面積は万里子が穿いているのとそう変わらない。

その部分の見事な盛り上がりに、万里子は色々なことを想像してしまい……頬が火照ってしまう。


「あ、約束通り、ちゃんとカメラは動かしてもらったから。もちろん、安全のためと言っておいた。君は何も心配しなくていい」


その言葉どおり、卓巳はそそくさとプールに入り泳ぎ始める。

万里子もそれに倣うが、この水着は泳ぐにはあまり適さないようだ。肌にピッタリと張り付き、ちょっとでも激しく動かすと、あらゆる部分がはみ出てしまいそうになる。


「きゃ……ん」


サイズアップした胸元がビキニから零れ落ちそうになり、万里子は慌てて直した。

卓巳はその姿がカメラに映らないよう、すぐに万里子の前に立つ。


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