愛を教えて ―番外編―
万里子は首の後ろと背中で結んだ紐が、何かの拍子にほどけないかと心配でならない。

それに、子供を産んで半年。服のサイズは元に戻ったが、体型まで元通りかどうか……自信がなかった。


「卓巳さんは、フリルがお好きだったんじゃなかったんですか?」

「……」


卓巳はきらきらした瞳で万里子を見つめている。


「卓巳さん?」

「あ、ああ……もちろん、嫌いじゃない。でも、実はネットで見つけて……どうしてもやってみたくなったんだ!」


そう言った直後、卓巳は羽織ったパーカーを脱いだ。


すると……なんと見事な豹柄のビキニパンツが!


「た、た、たくみ、さん? あの、それ……って」

「そうだよ、万里子。お揃いなんだ! 凄いだろう? 『ワイルドでセクシー』なんて謳い文句でね。ほんの二年前まで、僕の辞書にはないものだった。自信もなかったし……。でも、今はそうでもない。もちろん、君限定だけどね」


万里子は、ようやく思い出した。


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