愛を教えて ―背徳の秘書―
雪音はエレベーターを降り、目的の部屋に向かった。

足首は少し違和感があるだけで、ほとんど痛みはない。それより痛むのは上腕のほうだ。宗は、たとえ電車に轢かれても、離れまいとするような強い力で雪音を抱き締めた。


他の誰が、線路の上まで雪音を追ってきてくれるだろうか?

でも、他の女性を殺してでも宗を手に入れたいか、と聞かれたら……。


雪音は混乱する気持ちを押さえつつ、部屋の前に立ち、ドアをノックした。


「失礼します。宗さんにお話があるんですが……」


中からは何も返事がない。


「あの、こちらですよね? 宗さん?」


雪音はノブに手をかけ回した――その直後。


「入るなっ! ゆきね……にげろ……」


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