愛を教えて ―背徳の秘書―
「あっ……あっ……」


独身者の多い真昼のマンション、地下駐車場に残っている車はほんの数台。そのすべてが通勤用ではなく、休日用の趣味の車であるのは明らかだ。

停められた中の一台がスプリングをリズミカルに軋ませ……地下の空気を震わせる。

その隙間を縫うように、切なげな女の声が響いた。


「はぁぅ……あぁんっ!」


声は次第に大きくなる。

出入り口から一番遠い、二方向を壁で囲まれたスペースに停まったRX-7。フロントガラスから見えるのは真っ白い二本の足。



――嘘じゃない。別れ話をするために会っただけだ。


そんなロクデナシの言い訳を、雪音がまともに聞いてくれるはずもなく。


『早く行きましょう。ケーキを買ったらお邸までお願いします』


車に乗った直後、雪音は無表情に口を開く。その口を塞ぐように、宗は抱きついた。


『セックスでごまかそうとしないで!』


車から出ようとした雪音を、宗は力任せに引き止め、シートごと押し倒したのである。


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