愛を教えて ―背徳の秘書―
翌朝、宗が出勤すると、秘書室が昨日に引き続き妙にざわめいている。


「宗さん! 中澤さんが」


朝美の名を耳にし、昨日のことを思い出した。自然にため息がこぼれる。


「ああ、彼女なら……」


捻挫で二、三日休む、と宗が口を開こうとしたときだ。


「駅の階段から落ちたそうです」

「……?」

「救急車で運ばれてたらしいですよ。突き落とされたって話も」

「ちょっと待ちなさい。それは昨日の話じゃ」

「今日ですよ! 今朝のことです!」


宗は眩暈を覚えていた。


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