大嫌いだから、ね? ③
「おとなしくまっていて」



 私はそういって、背をむけて、キッチンに戻る。

 光くんのため息混じりの声が聞こえた。



「・・・陽菜に押し倒されるなんて・・・おれも、弱りすぎだな。

 逆じゃ・・・つまんねぇ・・・」



 それはどういう意味?と思ったけど、時間はもう七時半を過ぎていたので、料理の続きを始めた。

 フライパンの中のぶりは、焦げていなくて、ほっとする。

 怪我した指を気にしつつも、また、大根のかわをむいた。

 だんだんと痛みも感じなくなって、やりなれた手順でつぎつぎと料理を完成させていく。

 和食器に、いろどりよく料理をのせた。

 それをダイニングテーブルに並べる。

 できたのは、ぶりの照り焼き、ふろふき大根、油揚げと白ネギのみそ汁、お浸し。それから、ミルクプリン。ご飯は、柔らかめにふっくらと炊けた。

 つくりすぎちゃった・・・。

 具合の悪い光くんがどれだけ食べれるかわからないけれど、すこしでも食べて薬をのんでもらわなきゃ。

 私はレトルトのお粥と一緒に、置かれていた薬の袋に目をやった。

 それから、ソファにいる光くんに。

 光くんは、また、目を閉じていた。

 そばに歩いて行って、膝をついて座る。



「・・・光くん。ご飯できたよ」



 そっと、声をかけた。

 

 
 




 
 
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