FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
その気配を、まったく感じる事が出来ないなんて。
『毘沙門天!』
怒鳴る阿修羅王の声を聞きつけたヴァジュラは、ゆっくりと両手を広げた。
「邪魔はさせん」
と、その身から邪空間の一部を噴出させ、あたり一面に黒い嵐を巻き起こした。
東京を護っている阿修羅王達の結界を支える負担が増大する。これでは聖の救助も難しい。
身を半分ほどに減らしたヴァジュラは、再度聖に手を伸ばした。
触れる直前、それに気付いた聖は素早く地面を蹴って移動する。
それをその大きさからは想像も出来ないようなスピードで追いかけるヴァジュラ。
迫り来る白い手を、剣で斬り付けた。
斬られて真っ二つになった手は、まるで紙のようにヒラヒラ揺れると、あっという間に元に戻った。
ビルの谷間を駆け抜ける聖を、それらを破壊しながら追うヴァジュラ。
聖は崩れかけたビルに上り、やってくる倒すべき相手を見つめた。
(あの黒いものが、倒すべき相手)
それを、漠然と感じていた。漠然と。……はっきりと身体で感じる事が出来なかった。
皆で倒そうとしていたモノが目の前にいるというのに。
アレから皆、護ってくれたのに。
『毘沙門天!』
怒鳴る阿修羅王の声を聞きつけたヴァジュラは、ゆっくりと両手を広げた。
「邪魔はさせん」
と、その身から邪空間の一部を噴出させ、あたり一面に黒い嵐を巻き起こした。
東京を護っている阿修羅王達の結界を支える負担が増大する。これでは聖の救助も難しい。
身を半分ほどに減らしたヴァジュラは、再度聖に手を伸ばした。
触れる直前、それに気付いた聖は素早く地面を蹴って移動する。
それをその大きさからは想像も出来ないようなスピードで追いかけるヴァジュラ。
迫り来る白い手を、剣で斬り付けた。
斬られて真っ二つになった手は、まるで紙のようにヒラヒラ揺れると、あっという間に元に戻った。
ビルの谷間を駆け抜ける聖を、それらを破壊しながら追うヴァジュラ。
聖は崩れかけたビルに上り、やってくる倒すべき相手を見つめた。
(あの黒いものが、倒すべき相手)
それを、漠然と感じていた。漠然と。……はっきりと身体で感じる事が出来なかった。
皆で倒そうとしていたモノが目の前にいるというのに。
アレから皆、護ってくれたのに。