FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「聖、良かった、やっと起きたんだね」
 
ホッとしたようにそう言うのは蓮。

「やっぱり聖くんが一番酷い怪我なんですね。大丈夫ですか?」
 
ゆっくりと歩いてきて、聖の目の前に座った美少女は、李苑。

「すまなかった。護りきれなくて……」
 
李苑と同じように歩いてきて、十夜も床に膝をつく。

「でも元気そうじゃない」
 
ソファの方から軽く手を振る紅葉。

「フッ……」
 
僅かに笑みを漏らしただけで、皆を静観している真吏。
 
聖は何度も瞬きをし、一人一人の顔を眺めた。

「……俺、まだ夢見てんのかな」
 
そう呟くと、蒼馬が手を伸ばしてきた。
 
そして、頬の肉をつまむと、思い切り横に引っ張られた。

「痛いだろ?」
 
真顔で蒼馬は訊く。

「……いひゃい」
 
口を横に広げたまま、聖も答えた。
 
思い切り痛い。洗濯バサミではさまれているかのような、強烈な痛みである。

──これは夢ではない──そう、確信すると、次第に頬の筋肉が緩んでいった。

「……夢じゃないんだな?」

「おおよ」

「皆、生きてるんだな?」

「生きてるよ」
 
蒼馬がニカッと笑う。
 
李苑も、十夜も、蓮も、紅葉も、真吏も。皆、力強く微笑んだ。

「──やったあああ!!」
 
そう叫んで、蒼馬に飛びつく。
 
それを見ていた全員が、驚いた。

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