平凡太~ヘイボンタ~の恋
ただ疲れだけを抱いて自分のアパートへ戻った。


散らかった部屋を掃除する気にもなれず、シャワーを浴びた。


栞の言葉を洗い流したかった。


およそ恋には似つかわしくない押しつけばかりの投げやりな言葉。


ボクは止められなかった。


止めて自分の全部で一華先輩だけを想いたいのに、問題を大きくしてしまっただけ。


栞は何をするだろう。


一華先輩の身に何も起こらなければいい、ただそれだけを願った。


モヤモヤした気持ちは晴れない。


それでもまた一華先輩に、詞音ちゃんに会いたい、それだけは譲れない。


身支度を整え、また一華先輩の家へ向かった。
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