平凡太~ヘイボンタ~の恋
「ただいまー」


「あっ、ママだ!」


買い物袋を下げて帰ってきた一華先輩に、ボクは不器用な笑顔を向ける。


どうかこの笑顔が。


『友詞』に重なりますように、と。


「おかえり、一華」


「あ…うん。ごめんね、友詞。詞音の子守まかせちゃって」


「いいさ。な、今日はどこに行きたい?」


「詞音は?」


「詞音じゃなく、一華。一華が行きたい所に行こう」


「あた、し…?」


「うん」


「でも…」


「じゃ、ボクが決めるよ?」


「うん…」


「『ボク』のお墓に行こう」


「…え?」


「『友詞』のお墓。そこで泣いてスッキリしたら、また笑えるから。だから、行こう」


「平太くん…っ!」
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