平凡太~ヘイボンタ~の恋
買ってきた食材を冷蔵庫に詰めて、3人で家を出た。


電車とバスを乗り継いで40分程、新しい花のたむけられている小さな墓石。


「そっか。今日は『ボク』の月命日、か」


「しおんね、いっつもパパのお墓にお菓子あげてたんだよー?パパ、食べてくれた?」


「うん。いつも全部食べてたよ」


「わぁ!良かったっ。あ、ちょうちょだ!しおん、捕まえてくるー」


「あんまり遠くに行っちゃダメだぞ?」


「はーい」


蝶を追ってかけて行く詞音ちゃんの背中を見送って、ボクは『友詞』の墓に手を合わせた。


一華先輩も手を合わせる。


静かな涙を溢しながら。


しばらくの間お互い何も言わず、墓を見つめていた。
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