リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『お笑い』・2
顔立ちも可愛いし。

「うん、良く似合うよ」

「ホント? どれを買おっかな?」

店内にいる女の子達の視線も、彼に向けられる。

でも本当の性別を知らないことを思うと、ちょっと不憫。

…まあ元々、彼がこうなったのはアタシのせいなんだけどね。

幼い頃、それこそ小学生に上がる前まで、彼は普通の男の子の格好をしていた。

まあその頃から彼は可愛かったけど、こういう格好は一切していなかった。

そんな彼に、ある日、こう言われた。

「あのね! ボク、将来キミのお嫁さんになりたいんだ!」

…今思うと、ツッコミどころがある告白だったな。

けれどアタシも幼くて、ただ単純に『結婚すること』として受け止めた。

告白されたことは分かっていた。

彼のことは確かに気になっていたから、アタシはつい、

「うん…分かった。じゃあ大きくなったら、アタシのお嫁さんになってね」

……と答えてしまった。

その後、お互い小学校に上がると忙しくなって、会うことがなかった。
< 3 / 12 >

この作品をシェア

pagetop