愛しい人~出逢いと道標~
「私を乗せたからか。

警察から事情聴取みたいなことされたって聞いたけど、本当だったんだな。

だから・・・」


「・・・」


「答えろよ!」


興奮し、つい大声を出してしまい、慌てて部屋のドアをゆっくりと開けて下の様子を伺う。

どうやら、母も父も起きた様子もなく、廊下は暗いままで静かだった。

廊下や私の部屋だけでなく、電話の向こう側もかなり静かで、静かすぎて耳鳴りが起きてきそうだった。


「そうだよ」


その声は今まで聞いてきた入瀬の声で一番重く、一番悲しみを持っていた。


「世間から見れば、俺は家出した女の子を知っていながら手助けをした。

プロのドライバー失格だよ」


言葉が出なかった。

いや、見つからなかった。
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