あの人について
sweet 19
 
 
「ごめん、俺、結婚してるんだ」



あの人にそう告げられたのは
付き合いだしてから 半年くらいだった。



私はまだ19歳で
世の中のことは何もわかっていなかったし
「不倫」なんて聞き馴染みはあれど、
自分には無関係だと思っていた。



『世界には毎日、満足な食事を取ることができず、
餓死する子供たちが溢れています。』

なんてTVの中の言葉のように
起きていることはわかっている、
だけど自分とはどうしても結びつけられない
そんな程度の認識だった。



だから始めは冗談だと思った。



「エイプリルフールはもうとっくに終わ ったよ。」

確かそう言ったことを今でも覚えている。
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