悪魔のようなアナタ ~with.Akito~
10分後。
灯里はリビングで両親から質問攻めに遭っていた。
娘が朝帰りしたかと思ったら、一緒に来たのが10年前まで隣に住んでいた青年となれば親でなくても驚くだろう。
「一体いつから付き合ってるの?」
「……えーっと、一か月ぐらい前かな?」
灯里は適当に濁した。
まさか本当のことを言うわけにはいかない。
膝の上で落ち着かなげに指を組む灯里に、母は次々と質問する。
「いつ、どこで再会したの?」
「えっと実はね、晃くんはうちの会社の取締役で……」
「取締役っ!?」
灯里の言葉に父も母も驚きの声を上げた。
……無理もない。
向かいに座った父が灯里の方に身を乗り出し、口を開く。
「取締役って……まだ晃人君は30代だろう?」
「うん。でもお父さんが忍村の代表取締役をやってるみたいで……」
「忍村って……まさか……」