悪魔のようなアナタ ~with.Akito~



晃人は昔、どちらかというと黒檀やマホガニーなど重厚だが素朴な感じの家具を好んでいた。

10年経ち、部屋の趣味も多少変わったらしい。

こういった大人でお洒落な雰囲気もいいが、昔のような落ち着いた雰囲気も良かったなと灯里は内心で思った。


「少し待っていろ、灯里」


晃人はキッチンに立ち、棚から鍋や皿を取り出した。

晃人はあまり料理はしない方だが一通りのものを作ることができる。

それは昔、灯里が料理の本を片手に『晃くん、これ作ってー』とよくねだっていたからなのだが……。


晃人の料理は大雑把で適当だが、なぜか味はいい。

久しぶりの晃人の料理をまさかこんなタイミングで味わえるとは思ってもみなかった。

灯里はリビングのソファーに背を埋め、痛む頬をそっと押さえた……。


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