君に、この声を。
頭を撫でる朱莉の手があたたかい。
懐かしい感触。
「あたしね、ずっと信じてたよ。智那のこと」
「え?」
「っていうより、確信? 智那が合唱団復帰することくらい目に見えてたし」
そう言って、朱莉は手を私の頭から離した。
「なんでそんなこと?」
「なんでって――智那、まだわかってないの?」
「ねー」と、朱莉が周りのみんなに聞く。
聞かれたひとはみんなにこにこ笑いながら首を縦に振った。