フライングムーン
第六章
次の日、私は一人でロフトに上がった。
天窓には今日もフライングした月がいた。
地球に縛り付けられている月。
地球の周りを回る事しか許されない月。
月は気付いていないのだろうか。
今は夜じゃないという事を。
この青い空は自分がいるべき場所ではないという事を。
夜になれば何よりも自分が一番輝けるのに何故、太陽がいる昼間に現れるのだろう。
私は一人で天窓を見上げてフライングした月の気持ちを考えてみた。
でも答えなんか出てこなかった。
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