フライングムーン
第七章
次の日、彼は言った通りにやってきた。
そしてロフトに上がった。
私も彼と一緒にロフトに上がった。
天窓の真下に二人で寝転がると今日もフライングした月がそこにいた。
“何で月はフライングしてるんだろう?”
私は彼に聞いてみた。
彼は“何でだろうね”と答えた。
“でもきっと月は、自分がどんな空にいるかなんて気にしてないんだよ”と続けた。
私は彼の話しに聞き入った。
“例え自分が当たり前にいる夜の黒い空でも、太陽が光を放つ青い空でも、月がそこで月として存在している事に違いはないんだよ。君もここから出たからと言って君じゃなくなるわけじゃないだろう?”
彼は優しく笑った。
“僕達がどこかに出掛けるように月もいつもとは違う景色を見に来たのかもしれないね”
彼の声が胸に響いた。
やっぱり変な感じがした。
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