チッサイ、オッサン
緊張しながら玄関の鍵を開けて、まずは大きく深呼吸する。


「もういなかったら嬉しくて泣くわ、俺」


ほんのちょっとだけドアを開けて、思いっきり腰を引かせながら中を覗いた。


「く、暗闇だ。なにも見えん」


今日の朝はオッサンを見なかったから夜行性の確率が高い。


片手にニンニクを握りしめて足からソーッと中に入り、玄関の電気をつけた。


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