好きになっても、いいですか?


『時間ですね。今日は定時で、どうぞ上がって下さい』


麻子は敦志に言われて、定時きっかりに秘書室を出ることが出来た。

エレベーターを待ってみるが、生憎2つあるエレベーターは下ったばかり。
時間がかかりそうだと判断した麻子は、運動がてら、と階段を利用した。

窓も何もないひんやりとした空気の階段を、ヒールの音を響かせながら降りて行く。

すると、途中の階で聞こえてきた女性の声に、コツンとヒール音を止めて様子を窺った。


「これ、コピーとホチキスでまとめとくのと、お願いするわ」
「え……今から、ですか……?でも今日はちょっと……」
「あなた、後輩よね?先輩の言うことも聞けないの?」
「普段もロクに仕事してないじゃない」


階段からエレベーターの踊り場に出て、声のする方を見てみる。そこには制服を着た女子社員が3人、硝子越しに確認できた。

扉は閉まっているが、上部にある小窓が開放されていた。
社員も他に見当たらないために、声が通りやすくなっているようだった。


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