好きになっても、いいですか?


ブォン、と一台の車のエンジンがかかる。

地下駐車場内は、そのエンジン音がこだまする。

ヘッドライトをつけて、ハンドルとギアに手を乗せた。


「……」


しかし、その車は一向に動く気配がなかった。


再びライトを消して、エンジン音のみが響く。



「――ここまで本気になっていたなんて」




車内で片手を額に抑えるのは、敦志だった。



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