好きになっても、いいですか?

麻子は結局、全てを打ち明けて相談出来ない為に、的確なアドバイスや意見を貰えない状況に、心の中で小さく溜め息をついて弁当に箸をつけた。


「それってどっち?」
「は……?」
「どっちかでしょう?今の話!」


弁当に視線を落としていた麻子に、前のめりで泰恵は顔を近づけると、小声で麻子にそう聞いた。


「どっちかって……」
「麻子ちゃんをサポートしてくれるって話!それって、仕事以上の気持ちがあるってことじゃないの?それって社長か、あの専属の秘書の人でしょ?」


(ああ、そうだった……)


麻子は噂好きの泰恵だったことを、今更思い出しては少しだけ後悔する。


「やっぱり、秘書の方?前にここに来た時に麻子ちゃんを庇ってくれたし、優しそうだったものね」


もうこうなると手に負えない、と、麻子は苦笑いを浮かべつつ、泰恵のマシンガントークをひたすら聞き流していた。



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