好きになっても、いいですか?
苦虫を噛み潰したような顔をして、美月はゆっくりと立ちあがった。
それに合わせて純一も立ちあがる。
「言え。何が目的だ?お前の意志か?それとも中川か――」
「ふっ」
形勢は明らかに不利。
なのにも関わらず、この期に及んで笑みを溢す美月に疑問を感じる。
その疑問を解くように、頭をフル回転させている純一に、美月はぽつりと漏らした。
「……もう、達成している頃よ」
そのセリフを聞いて純一は弾かれたように応接室を飛び出た。
「――――敦志か。今どこにいる!?やはり嫌な予感は的中したみたいだ……!」
「既成事実を作るのは失敗、か」
美月は、純一が敦志に電話を掛けながら秘書室へ向かっている姿を見て一言呟いた。
そして結ってある髪留めを外して髪をかきあげると、颯爽とオフィスから立ち去った。