好きになっても、いいですか?
“もうダメよ”。
そんな態度をする麗華に、麻子は顔を近づけて言った。
「――諦めたらラクになれるとでも?違うわ。立ち向かって、もがいて、闘って――――」
そうして、今の自分はここに立っているのだから。
「おい、お前ッ……いつの間に!!」
一人の男が、麻子の口が自由になっていることに気が付いた。
もう一人はその様子に後から気付いたが、まだ通話しているようだ。
「声……出すなよ?」
低い声で静かにそういうと、その男は麻子に近づいてきた。
そして麻子を草むらに押し倒すと、麻子は麗華に言う。
「……走って!」